政府は4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急経済対策案を公表しまた。感染拡大前と比べて収入が一定程度落ち込んだ世帯に、現金30万円を配ることなどが盛り込まれましたが、それ以外の新型コロナによる「生活難」「生活苦」に対応する給付金・助成金など、使える5つの制度が話題になっています。
Contents
新型コロナの生活難・生活苦対応する給付金・助成金など使える制度
税金・家賃が払えない……新型コロナによる「生活苦」に、今すぐ使える5つの制度
1:生活費を貸し付けてくれる制度
生活福祉資金貸付制度(厚生労働省)
これまで、各都道府県社会福祉協議会が低所得世帯等に対して、生活費等の必要な資金の貸付等を行っていたが、コロナウイルスの影響を踏まえて対象世帯を拡大している。休業された方には、緊急小口資金として最大で20万円以内の貸付、据置期間は1年以内、償還期限は2年以内である。
失業された方には生活再建までの総合支援資金として、2人以上の世帯で月20万円以内、単身であれば月15万円以内の貸付、据置期間は1年以内で、償還期限は10年以内、いずれも無利子であり、保証人は不要だ。
出典元:週刊文春
2:税金が払えないときに使う制度
納税猶予(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm新型コロナウイルス感染症の影響で国税を一時に納付することができない場合、以下の要件のすべてに該当するときは原則として1年以内の期間に限り、猶予が認められる。①国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められること。②納税について誠実な意思を有すると認められること。③猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと(注1)。④納付すべき国税の納期限(注2)から6か月以内に申請書が提出されていること。※担保の提供が明らかに可能な場合を除いて、担保は不要となる。注1:既に滞納がある場合や滞納となってから6月を超える場合であっても、税務署長の権限による換価の猶予(国税徴収法第151条)が受けられる場合もある。注2:令和元年分の申告所得税、贈与税及び個人事業主の消費税の確定申告は、延長された期限(令和2年4月16日)が納期限となる。
詳しくは、国税庁ホームページ「新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方には猶予制度があります」をご覧いただきたい。
税務署において所定の審査を早期に行い、猶予が認められると、原則、1年間の猶予が認められる(状況に応じて更に1年間猶予される場合もある)。猶予期間中は延滞税が軽減され、財産の差押えや換価(売却)も猶予される。
気軽に所轄の税務署(徴収担当)に電話で問い合わせてみてほしい。
出典元:週刊文春
3:家賃が払えないときに使う制度
住宅確保給付金(厚生労働省)
厚生労働省は2020年3月9日に、「新型コロナウイルスに関連した生活困窮者自立支援法に基づく住居確保給付金の活用について」と題する事務連絡を各都道府県や政令指定都市などに対して出した。住居確保給付金の目的は、離職等により経済的に困窮し、住居を失った又はそのおそれがある者に対し、住居確保給付金を支給することにより、安定した住居の確保と就労自立を図ることにある。ただし、新型コロナウイルスの影響で就労環境の変化等により収入の減少が懸念され、住まいを失ったり、家賃を払えない方に対しても、国や自治体が家賃を支給する。対象者には、就職活動中の家賃を原則として3か月間、最長で9か月間にわたって支給される。例えば東京都の中心部では、・単身世帯の場合……月収13万7700円、預貯金50万4000円以下で、毎月5万3700円を上限に支給・2人世帯の場合……月収19万4000円、預貯金78万円以下で、毎月6万4000円を上限に支給支給対象者の概要は以下の通りである。・離職等の前に世帯の生計を主として維持していたこと
・ハローワークに求職の申し込みをしていること
・国の雇用施策による給付等を受けていないこと
世帯収入と預貯金に一定の基準が設けられており、申請には、運転免許証など本人確認の書類や失業中であることを証明する書類や世帯収入および預貯金が確認できる資料などが必要である。ただし、この基準は地域によって異なる。そのため、お住まいの「自立相談支援機関」に問い合わせいただきたい。
相談窓口一覧はこちらから確認できる。
(自立相談支援機関 相談窓口一覧 平成30年4月1日現在:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000191346.pdf)
出典元:週刊文春
4:子どもの学校休業による所得減に対応する制度
小学校等休業等対応助成金(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html
厚生労働省は、新型コロナウイルス感染拡大防止策として、小学校等が臨時休業した場合等に、その小学校等に通う子の保護者である労働者の休職に伴う所得の減少に対応するため、正規雇用・非正規雇用を問わず、労働基準法の年次有給休暇とは別途、有給の休暇を取得させた企業に対する助成金を創設した。有給休暇を取得した対象労働者1人につき、対象労働者の日額換算賃金額(各対象労働者の通常の賃金を日額換算したもの:8,330円を超える場合は8,330円)╳有給休暇の日数により算出した合計額を支給する。申請期間は令和2年3月18日〜6月30日までである。支給要件の詳細や手続きについては下記をご参照いただきたい。
また、個人で業務委託契約等で仕事をしている方向けの支援金制度も創設された。厚生労働省は、令和2年2月27日から3月31日までの間に取得した休暇等については既に支援を行っているが、対象期間を延長し、令和2年4月1日から6月30日までの間に取得した休暇等についても支援を行う予定であることを公表している。こちらについても、同様のコールセンター(学校等休業助成金・支援金、雇用調整助成金、個人向け緊急小口資金相談:電話 0120-60-3999)に問い合わせいただきたい。受付時間は、9:00〜21:00(土日・祝日含む)である。
出典元:週刊文春
5:健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度
生活保護制度(厚生労働省)
生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としている。
生活保護の相談・申請窓口は、お住まいの地域を所管する福祉事務所の生活保護担当である。福祉事務所を設置していない町村にお住まいの方は、町村役場でも申請の手続きを行うことができる。
生活保護制度では、以下のような生活を営む上で必要となる各種費用に対応して扶助が支給される。
生活扶助基準額の例として、東京都区郡等の3人世帯(33歳、29歳、4歳)で158,210円、高齢者単身世帯(68歳)で78,230円、母子世帯(30歳、4歳、2歳)で189,580円である。
申請にあたって、必要な書類は特別にはないが、申請後の調査において、世帯の収入・資産等の状況がわかる資料(通帳の写しや給与明細等)の提出を求められることがある。
今野晴貴さんの記事「コロナ問題で『生活保護』は使えるのか? 制度の仕組みと使い方を解説する」も参照いただきたい。
まずは各所に相談することから
以上が、新型コロナによる生活苦に、今すぐ使える5つの制度である。誰もが苦しい状況の中、「自分はまだマシな状態だから・・・」と堪えてはいないだろうか。
「制度を利用するなんて恥ずかしい」と、我慢する必要はまったくないのである。繰り返しになるが、痛みに耐えることだけが美しい人の姿ではない。
まずは、各所に相談することから是非ともはじめていただきたい。困ったときはお互いさまなのだから。
出典元:週刊文春